16.05.23

『麗靴堂オーナー職人』 堂薗 顕史 氏

東京町屋の住宅地の一角で、靴や鞄などの革製品を中心に、様々な修理からメンテナンス を手掛ける「麗靴堂」。 ギャラリーに隣接したスペースをリノベーションした店内は、以前にあった子供の落書き などを残し、“靴修理屋”と聞いて連想する空間とは大きく異なる、“面白く、温かい”空気が流れています。

靴磨き/靴直し職人として異色の経歴をもつ、麗靴堂オーナーの堂薗氏にお話 を伺いました。


コレクションブランドのパタンナーから高級万年筆の営業マンを経て、お直し職人へ


高校生の頃から洋服がとにかく好きでした。
当時、裏原ブームの最高潮の時期だったことも大きな理由の一つですね。ですが当然、裏原スタイルが好きだった当時の僕の興味の対象は、革靴ではなくスニーカーでしたね。笑

高校を卒業した後、大学進学も考えましたが、洋服への思いが捨てきれずに服飾の専門学校の門を叩きました。

専門学校では1年目は日本で学び、2,3年生の時はパリに留学し、服作りは勿論、ファッションに対する文化的要素も多く学びました。

麗靴堂
革靴に興味を持ち始めたのは19歳の頃でしたね。
その時コルテやポールハーデンというブランドのシューズがすごくかっこよくて、それがきっかけです。

また、自分で買った革靴がなんですぐボロボロになるんだろう?という思いもあって靴磨きやメンテナンスに興味が湧いたんです。
そして21歳くらいの時に完全に自己流で靴磨きを始めました。

麗靴堂
専門学校ではフランスに留学し、コレクションブランドのパタンナーの養成所などでも学んだ後、22歳の時に帰国したのですが、日本の大手メーカーの洋服作りにはあまり興味が持てず、古き良きモノが好きだったという想いから、老舗の万年筆を扱う文具メーカーに就職しました。

ですがある時、「靴のお直し屋さんの数は少なく、どこのお店だったら信頼して修理に出せるんだろう?」という思い、「だったら自分でやってしまおう!」と、今の仕事を始めました。


"地道な営業活動"を続けて得た、様々で出会いやご縁


事業を始めた最初の頃は町おこしのイベント会場の一角を借りて、靴磨きをしたり、”地道な営業活動”をけっこう続けていきました。
百貨店などに行っても、もちろん最初は断られることがほとんどでしたけれど。苦笑

また、時には選挙事務所に行って選挙に出馬する方に「人前に出て足元を見られるから、靴磨きしませんか」と営業をしたこともありますね。笑

麗靴堂
そんな営業活動を続けていたある時に、イベント会場で靴磨きをしていたら革の修理の業者さんと出会い、それから鞄の補色や修理なども受けるようになり、徐々にメンテナンス業務の幅を続けていきました。

今では有り難いことに、年間に数え切れないくらいの鞄や靴の磨き、修理をさせて頂いています。


ピカピカにすることだけが靴磨きではない


靴のお直し屋だと意外かと思われるかもしれませんが、僕のお店のお客様は大半が女性なんですよ。
男性よりも女性の方が靴を気にするんですね。

例えば新社会人の女性の方で「営業に行っても相手にされないのでせめて靴だけでもキレイにしていきたい!」という方や、外反母趾に悩まれる方のための修理を承ることもあります。

麗靴堂
また、革靴の革が硬くなり、履くと足が痛くなってしまうという理由で靴を持ち込まれる お客様も多いですね。 そのような方のためにシューズにクリームを馴染ませて革を柔らかくしてあげます。

麗靴堂
僕の靴磨きのやり方としては、クリームに少し植物性油を混ぜて、革に保湿成分を与えて います。その方が普通にクリームだけで磨くよりも革が保湿されることにより柔らかくな るし、再度お客様自身で靴を磨かれる時に、クリームの馴染みがよくなったと言われるん ですよ。

見た目ではそんなに磨く前と変わらないので、お客様がシューズを足に通した時にそのギャップで驚かれる事が多いですね。笑


モノを大事に使う人のために、“僕みたいな人がいる”


日本人にはモノを大事にする精神が受け継がれていると思います。
ですが今の時代、モノを大切にする人って昔に比べ、減ったんじゃないかな?と思うんです。

例えば靴や鞄に限らず、使っているモノがちょっとでも壊れてしまったら修理せずに、すぐに買い換えてしまう人もいます。

麗靴堂
モノを買い換えるってことは、その分だけゴミが増えたり、無駄が多いってことだと思んですよ。 現に周りのものづくりの職人さんに資源がないとか、こういう材料が採れないというの話 をよく聞ききます。

資源のためにも良いモノを長い間、大事に使うということが大切なんだと思います。

麗靴堂
まあみんなが僕みたいな考えでも経済が回らなくなっちゃうな、とも思いますけど。笑

でも僕は世の中の10 人中 2~3 人のモノを大切にする人たちのために、お直し屋さんをやっているんだと思います。
僕のお店に来る方で、「この靴を直してでも使いたいんだけど、安い靴だからお直しに出すのが恥ずかしい」とおっしゃるお客様もいます。

麗靴堂
僕はどんな靴でも、「直してでもこの靴を使いたい」と思っている人の役に立ちたいので、 そのようなお客様は大歓迎です。 そういう人が「手入れや修理ってどうすればいいんだろう?」ってなった時に、僕にお気軽にご相談いただければ、嬉しいですね。

このお直しができるお店

SHOP Information

麗靴堂

住所: 荒川区東尾久6-8-9
TEL: 080-5566-1669
店舗ページ: http://reikado.jp/

FEATURED CASE

- 匠なお直し事例 -

全ての"匠なお直し事例"を見る

INTERVIEW

- 匠のインタビュー -

全ての"匠のインタビュー"を見る
^

ONAOSHI for Good Life

- ikigoto LIVING その他の特集 -