年間最大400万着を届ける!UNIQLO(ユニクロ)の服へのリスペクトを込めた難民支援活動を探りました。

17.02.21

年間最大400万着を届ける!UNIQLO(ユニクロ)の服へのリスペクトを込めた難民支援活動を探りました。

世界18の国と地域で事業を展開するユニクロは、服の販売だけなく、社会貢献活動として難民問題の解決に真摯に向き合っています。

例えば、不要になった商品を回収し、世界中で服が必要な人に届ける「全商品リサイクル活動」では、年間最大400万着もの服を難民・避難民に届けたり、難民の人たちの自立を促す活動も行っています。

知られざるユニクロの難民支援活動について、サステナビリティ部ソーシャル・イノベーションチームリーダー、シェルバ英子さんにお話をお伺いしました。
 
 
 

「あなたたちは世界中でどんな良いことをしていますか?」現地の期待に応えるために進化させた「全商品リサイクル活動」


 

 
難民支援活動は、最初から難民支援を目的にしていたわけではありません。私たちファーストリテイリンググループは、フリースブームを終えた2001年にフリースのみを回収するリサイクル活動を始めました。

もともとは、回収したフリースを電気エネルギーに変えるなど、エネルギー資源としてのリサイクルを目的に始めました。私たちは自分たちが作った商品を、最後まで責任を持つことを意識して活動を行ってきました。
 
フリースのリサイクル活動を続ける中で、もともとユニクロの商品は耐久性や持続性にも優れていることから、お客様から「まだ着られるのに忍びない」「(リサイクル対象商品を)他の商品にも拡大して欲しい」という意見をいただきました。

これと同時期にユニクロは海外進出の第一歩として英国に、その後中国、米国と次々に海外出店を加速させていきました。
 

 
しかし、私たちが海外に出て事業を展開するだけでは意味はありません。なぜなら、他の人と同じことをやるなら、わざわざ他所から来てもらうメリットが、その国や地域にないからです。

「あなたたちは私たちの国に、どんな良いことをしてくれますか?」「あなたたちは世界中で、どんな良いことをしていますか?」と、各国の代表から聞かれます。現地の方々の期待に応えるために、ユニクロらしい企業姿勢を表す活動をさらに進化させていくことにしました。
 
そこで、お客様からの提案とユニクロの企業姿勢をより強固に打出すということで、2006年から回収対象を全商品に拡大した「全商品リサイクル活動」としました。現在では16の国と地域で回収し、持続可能な世界を実現するために取り組んでいます。
 
 
 

年間で最大400万着。本当に服を必要としている人たちに届けることが、ユニクロのこだわり


 

 
難民支援活動をもっとより良いものにするために、「全商品リサイクル活動」へと進化させました。しかし、回収した服をむやみに配るような押し付けの支援はしたくありませんでした。
 
国や地域によって古着ビジネスが成り立っているところもあるため、現地産業への影響を考慮しています。
最も服が必要と考えられる貧困層や、人権をも危ぶまれている人たち、マーケットから離れていると想定される地域へ提供していくべきだと思い、本当に必要な量を必要な人たちに届けることにしました。
 
その時にUNHCR(国連難民高等弁務事務所)さんが、世界中の難民・避難民への「服」の安定的調達を求めていたことでお互いのニーズが合い、ともに協力し合うことになったのです。
ユニクロは自社で服を集めることから届けるまで、全てを一括して行っています。だからこそ、キチンと届ける人の顔が見えることが、ユニクロの難民支援活動の強みだと思います。
 

 
回収した服に関しては、国内に選別作業所があり、そこで性別、サイズ、季節などを考慮し18種類に分けられます。輸出しやすいように特殊な機械で圧縮し、ベールと呼ばれる形状にした後で倉庫に保管。同時にUNHCRさんを通してニーズ調査をし、都度必要に応じて現地へと運びます。その数は年間最大400万着にもなります。
 
実際に2016年8月までに回収した服は5,433万着。そのうち、世界の難民・避難民に寄贈したのは2,033万着です。使えないと判断された服は処分するのではなく、RPFと呼ばれる廃棄物固形燃料として再利用をしています。
 
 
 

年間で270の学校へ。日本の児童・学生と一緒に難民の人々に子ども服を届ける


 

 
回収した衣服を順調に送っていますが、そこには課題もあります。それは、子ども服が足りていないこと。なぜなら、難民キャンプでは女性、もしくは子どもの数が多く、難民・避難民の約半数が子どもだといわれています。
 
このような状況を解決するため、2013年から「”届けよう、服のチカラ”プロジェクト」と称して、全国の小・中・高校に社員が出向いて出張授業を行い、服の大切さ、難民の現状を伝える啓蒙活動を実施しています。2016年度には全国から募集のあった270の教育機関にお伺いし、授業を実施しました。
 
授業では難民問題は遠い世界の話ではないこと、1枚だけでも届ける意味があることを、子どもたちに丁寧に伝えています。座学だけでなく、実際に子どもたちが地域と協力し、子ども服を集め、その後弊社が責任をもって難民に服を届けています。
 
また、このような活動はいかに持続的に継続していくかが鍵です。UNHCRさんだけでなく、選別会社や物流会社など、協力いただける企業様にこの活動に共感していただくことがとても大切だと考えています。回収から選別、寄贈まで活動の各工程に関わっていただける企業様には、毎年活動の成果をフォトレポートでお伝えし、活動をご理解いただくようにしています。
 
 
 

目標は100名の雇用。難民の人たちがイキイキと働き、希望を見出せるようサポートをしていく


 

 
ユニクロは「全商品リサイクル活動」だけでなく、難民の自立支援活動も推進しています。
私たちは難民の人々も貴重で優秀な人材であると思っています。せっかく良いスキルや働ける力を持っているのに活かせない。その現状を変えていくためにも、難民の人々が経済基盤を整えることで、人生を豊かにし、希望を見出せるきっかけを作りたいのです。
 
そこで、2015年にUNHCRさんに対し3年間で総額1000万ドルの支援を決定。内訳は、緊急時支援のために300万ドル、自立支援活動に550万ドル、衣料をスムーズに届けるための配達補助に150万ドルです。自立支援に大きな軸をおき、アジアを中心に縫製スキルやコンピューターなどの職業訓練や、在宅起業のサポートといった、自立支援サポートを行っています。
 
また、2016年4月にフランス人デザイナーのオランピア ル タンとコラボレーションしたトートバッグを発売しました。オランピアさんの代名詞である「ミルクバッグ」のロゴのデザイン刺繍をマレーシアの女性難民の人たちに作っていただきました。
 
このように難民の人々のスキルやポテンシャルを活かすサポートをこれからも積極的に行っていきたいと考えています。
 

 
さらに、事業展開国での難民雇用にも力を入れていきます。現在、日本とドイツの店舗でミャンマーやエチオピア、シリアから来た約30名の難民の人たちを雇用しています。その数を100名に目標にすると共に、日本以外での雇用にも力を入れていきます。
 
現在は定期的な語学研修や半年に一度の難民コンベンションを実施し、相互理解を深めるための交流の場を設けています。ゆくゆくは、難民スタッフの人たちが店長や会社を担うリーダーになっていくことを願っています。
会社への貢献だけでなく、難民スタッフが自立し、人生の輝きを取り戻してほしいと思います。
 
一言で難民支援活動といっても、1つの活動にフォーカスするのではありません。私たちは「緊急時への対応」「自立支援」「お客様の参加」「従業員の関わり」の4つの軸をもとに、包括的な難民支援活動をしています。難民の人たちが、イキイキとした人生を送るためにも、これからも広く世界に貢献していきます。

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