祭りが地域の心を震わせる。宮本卯之助商店が宿す、コミュニティの熱。

16.11.04

祭りが地域の心を震わせる。宮本卯之助商店が宿す、コミュニティの熱。

一年を通して全国各地で行われるお祭り。それぞれの地域で住民たちが受け継いできた、日本の伝統行事です。そんなお祭りと地域コミュニティの深い関係性を知ることができれば、これからの地域づくりへのヒントになるかもしれません。

宮本卯之助商店(みやもとうのすけしょうてん)は、お祭り好きの江戸っ子気質が残る町・浅草に店を構え、祭りとともに育った老舗店です。祭礼行事・伝統芸能に欠かせないお神輿(おみこし)や祭礼道具、楽器を取り扱っており、日本のお祭りや伝統芸能を職人たちの高い技術が支えています。

長い年月を通して支えてきたからこそわかるお祭りと地域コミュニティの関係、地域に熱を宿すものづくりについて、代表取締役社長 宮本芳彦さんにお話を聞きました!



祭り好きの地が育てた、祭りを支えるものづくり。


太鼓の製造販売から始まった宮本卯之助商店ですが、お客様のご要望に応える形でお神輿や山車(だし)の製造を始め、次第に現在のように祭礼道具全般を取り扱うようになりました。今は関東を中心に、全国の地域の祭と伝統芸能に結びつきがあり、それぞれの地域にお応えしたものづくりをしています。

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これが私たちのふるさと。祭りが育んだ日本の地域と人々の絆。



祭りの足音が消えた?震災を通して気づいた人のつながり。


2011年3月に東日本大震災が発生しました。震災の復興が最優先であり、警備に必要な警察人員確保が難しい等の事情もあり、関東各地でもイベントの自粛が広がったんです。当然お祭りの自粛も広がり、会社への影響も甚大で、レンタルをするはずのお神輿などは毎日キャンセルの電話が鳴り続く時もありました。

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一方で震災を通して実感したのが、コミュニティのつながりです。祭や伝統芸能は地域で育まれ、地域をつなげる力となっていました。浅草は他のコミュティに比べて横のつながり、地域住民同士のつながりが非常に強いんです。何かあった時に助け合いができる町。震災直後はそれを感じることも大きかったです。

祭りがあるから地域がある。地域を鼓舞するエネルギーが、ふるさとを守る。


東北の芸能の復興も思った以上に早く立ち上がりました。被災地のお祭りをやって地域を鼓舞しよう、存続させようという動きです。お祭りをやらないのならこの地域に留まる意味がなくなるという状況だったことが要因となりました。

祭礼行事の復興は、衣食住などに比べれば優先度が低いと思われがちです。しかし、避難してもまた地域に戻ってこれるようにする為には、その村落のみんなが参加するお祭りをなんとかして存続させる必要があります。そうした地域の想いを受けて、私たち宮本卯之助商店を含め様々な支援団体が被災地の芸能の復興に尽力し、コミュニティの維持につながった地域もありました。

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その一つに、震災で流されてしまった獅子頭(ししがしら)の復元協力があります。東北の沿岸部は獅子頭を使ったお祭りが多く、獅子頭を神様として扱っている所もあります。また近隣と競い合うお祭りのメンタリティから、リアス式海岸で入り組んだ集落の一つ一つが、独自の獅子頭を発展させました。

そうした集落独自の形を、人の記憶と流されずに残った写真を頼りに復元していきましたが、大変だったのが感覚でしかわからない部分の復元です。例えば形を似せて作ってみて、実際に地域の方が持ってみると重すぎてしまうなど。手探りで作らないといけない部分は、当社の担当者や職人が何度も現地に足を運び、一つ一つ復元していきました。

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その時の縁で集落の方が浅草まで来てくださり、復元した獅子頭による舞を披露してくださったこともあります。



祭りが導く、地域コミュニティの未来!

コミュニティをまとめる魔法の力。


一年に一回のお祭りに向かって、準備・後片付けの時間がそのコミュティを形成している。だからお祭りには地域住民をつなげる効果が高いんです。「やるんだったら一生懸命やろう」と思ってやってるところは、地域全体が盛り上がる。お祭りが栄えるところは地域の熱が高いですね。

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再開発などでマンションが建った地域で「新しく入ってきた住民と古い住民が交わるようにお祭りをやってもっと盛り上げよう。」と、お神輿を作ったケースもあります。そうした時はやはり一人のキーマンを中心に、お祭りをやったことのない新住民の人たちとの交流が始まり、次第に大きな動きとなり地域コミュニティの形成につながるんです。

交流が育つ参加型!都心に生まれた次世代の祭りカタチ。


私たちが関わっている祭礼で、印象的なのが赤坂氷川神社さんのお祭りです。赤坂は都心なので、昼間人口と夜間人口が全然違うんです。そうした地域は無縁社会になってお祭りが行われていないのかと思われがちですが、新しい形で祭と地域コミュニティの関係が生まれました。

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この神社の神主さんは該当するお宅に「あなたは赤坂氷川神社の氏子(うじこ)ですよ。お祭りがあるから来てね。」ということで、ポスティングをしてまわった。そうすると「僕はあっちの神社の方が近かったけれど、本当は赤坂氷川神社の氏子なのか」と気づいたんです。そこにうちも関わらせていただいた山車(だし)の復元などアイコンの復活で盛り上がりを見せ、そのうちミッドタウン町会、アークヒルズ町会などを通じて、そこに働く人々も祭礼に参加するようになりました。

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現代生活では家にいる時間より会社にいる時間の方が長いので、そうした人たちに週末にお祭りに参加してもらうことで、その人たちを取り込んだコミュニティができてきたんです。これは新しい都心のお祭りの形ですね。企業としても地域と連携するアクティビティとして、良い機会だと思います。この5年くらいで巻き込んでいる人の数も見に来る人の数も増え、実際に地域が活性化してきています



チーム・宮本卯之助商店の、地域に応えるものづくりの心。



ところ変われば、品変わる。それぞれの地域が求める祭り道具。



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コミュニティの形も変化してきましたが、お祭り自体も変化してきました。東京では明治に入り電線や路面電車の普及したことで、山車(だし)から今のようなお神輿が中心のお祭りに変わりました。お神輿には宮神輿(みやみこし)と町神輿(まちみこし)があるんですが、厳かな宮神輿と違って町神輿は、作りや装飾などお神輿自体に地域の独自性がどんどん出てきたんです。それは他と違うもの、他の地域より良いものをというメンタリティーからです。こうした変化の中で、地域の求めるものに応えたものづくりをしてきました。「ところ変われば、品も変わる」という商売ですね。

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お祭りがあると、我々がご挨拶に伺ったりするんですが、その時に御神輿が活躍している姿もわかりますし、実際に使われている時に「本当はこうしたいんだよね」という要望が出てくるんです。町の御神輿だと、その後どのくらいの予算でやるか、大きな改修なら町でお金を貯めてからという場合もあります。節目の年に合わせて、今だと東京オリンピックの年までには綺麗な御神輿を担ぎたいというお話もありますね。



共に感じ、楽しむ心。それこそが地域に熱を宿すものづくりのスタート。


祭りでは熱気や感動など様々な感情が生まれます。だからこそ、使い手や地域の熱量を感じることのできる「お客様との共感」を大事にしているんです。

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会社では「〇〇バカ」というような人が大勢いるんですが、神輿好きの人が太鼓好きの人を引き込もうと、お互いに熱くプロモーションをし合います。義務でなく楽しさの中でやっていると、お客様のところに行きたい人もたくさん出てきて、みんなで声をかけるようにもなります。これまでを振り返ってみても、良い職人さんというのは現場に行ってるんですよね。

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お祭りや芸能に対してお客様と人と共感出来るからこそ、同じ方向を向いて考えることができる。そうした想いを共感できるチームが、宮本卯之助商店という会社ですね。


会社情報:【 株式会社 宮本卯之助商店 】


住所:〒111-0032 東京都台東区浅草6丁目1番15号
TEL:(03)3873-4155(代) 
FAX:(03)3875-6602
営業時間 : 9:00~17:00  
休業日:土・日・祭日
>公式WEBサイトはこちら

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