太陽熱の力で効率良く図書館を使う。明治大学和泉図書館が繋げる都市の地球環境へのアクション

16.12.13

太陽熱の力で効率良く図書館を使う。明治大学和泉図書館が繋げる都市の地球環境へのアクション

地球環境問題に対して全国でたくさんの取り組みがされる中、明治大学和泉(いずみ)キャンパス内にある和泉図書館が珍しい設備を導入しています。それは「ソーラークーリングシステム」と呼ばれ、地球環境に配慮された新しい技術。

全国でも珍しいソーラークーリングシステムと太陽光発電の違い、導入までの経緯、そして、図書館を通じた地球環境問題への取り組みで学生に伝えたいこととは? お話をお伺いしてきました。
 
 
 

光ではなく熱を使うソーラークーリングシステム


 
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明治大学和泉キャンパス内にある和泉図書館では、ソーラークーリングシステムを導入し、図書館を運営しています。

あまり「ソーラークーリングシステム」という言葉は聞き慣れませんか? 一般的に普及している太陽光発電(ソーラー発電)とは違い、何を原動力として使っているのかで異なります。

ソーラー発電は太陽の「光」を使いますが、ソーラークーリングシステムは太陽の「熱」を利用して、図書館の冷暖房に一役買っています。
 
具体的には、太陽の熱を利用して温熱を冷熱に変換する装置「ナチュラルチラー」を使い、冷水へと変えています。また東京ガスさんと連携し、ナチュラルチラー内に使用する太陽熱で補えなかった不足分を、ガスによってバックアップしていただいています。
 
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和泉図書館は「地球環境への配慮」と、学生同士が会話や討論しながら学習できるスペース「ラーニングコモンズ」の2つのコンセプトを持ち、さらに自然エネルギーの導入を主軸として、計画段階から考えられてきました。

約1年前の2012年から基本計画が始まり、インフラ供給会社である東京ガスさんから、タイミングよくソーラークーリングシステムのお話をいただくことになったのです。
 
インフラ供給会社の営業所で実際に導入されていることから、直接、目で見させていただき、最終的に導入しようと決めました。

和泉図書館のイニシャルコストが高かったこともあり、まかなえない部分は国の補助金を利用し、ランニングコストとのバランスが取れるようになっています。
 
 
 

震災以降に感じた地球への配慮と都市で機能できる大学であることの責任


 
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小さい部屋となる研究室や講義室では、各部屋での設置となりコストがかかりすぎます。ですが、和泉図書館はバスケットコート6面分ほど、800 坪の広さがあり、ソーラークーリングシステムを使うには丁度よい大きさ。図書館は大きな空間なので冷暖房を効率良く、そして広く使えるのです。
 
逆に御茶ノ水にある駿河台キャンパスのリバティタワーのような高さがあり、 大きすぎる建物でも真価を発揮できません。面積と高さが丁度よい図書館が最適なのです。
 
御茶ノ水にある駿河台キャンパスやリバティタワーは、以前から電力に頼っている設備が多くありました。しかし、2011年3月の震災以降で大きく都市機能として意識が変わりました。停電などが起こった大学施設の不安定なインフラ設備を見て、すでに電気ばかりに頼っていけないのだと感じたのです。
 
停電などが起きても、都市の避難所として柔軟に対応できる大学を目指すべきだと思いました。
 
ソーラークーリングシステムは他の大学での導入実績はないため珍しい。環境教育に全力を尽くす明治大学の姿勢を、学内外に知らせる価値ある一歩だと思っています。省エネ対策としてCO2削減はもちろん、当大学の他の施設にもソーラークーリングシステムの導入を、積極的に推進していきたいと考えています。
 
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導入後の成果として、ガスは2014年に2955 m³(立方メートル)、2015年に3788m³を削減することに成功しました。当大学はCO2削減にも取り組んでいるため、年間15.31tも削減できたことになります。

もっと分かりやすく言うと、CO2を吸収するブナの木の1390本分に相当します。目標だった大学のランニングコストの削減だけでなく、周辺地域への環境配慮ができました。
 
 
 

地球環境問題に取り組む大学として学生に伝えたいこと


 
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和泉図書館ではソーラークーリングシステムの導入に伴い、学生たちにも環境問題への意識を高めてもらうための取り組みを行っています。

例えば、和泉図書館内にある電子掲示板のデジタルサイネージには、現在の太陽熱の集積状況やCO2の削減量を表示すること。学部間でも理解を深めてもらおうと、共通総合講義として環境問題を扱った講義なども実施しています。

エネルギーの見える化を行うことで、環境問題への学生意識の芽生えを目指しています。都市型の総合大学として地域とつながり、多くの施設を都心に構えているからこそ、環境問題にしっかりと取り組んでいかなければなりません。

ただ導入しただけ終わらせずに、きちんと学生や地域に向けても発信する。大学側の1人よがりになってはいけません。
 
私たちは学生たちが外に向けて誇れるような大学を目指します。

自分たちの母校が環境に配慮した大学であること実感してほしいですし、個人個人が和泉図書館をきっかけに地球環境意識を高めていくことで、その問題に対して、積極的に向き合える人材へ育ってくれるのを望んでいます。そのためには、明治大学側も全力でサポートしていきたいです。

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