2020年に表参道を世界唯一の都市へ。「欅会」が考える街づくりの未来‎

2020年に表参道を世界唯一の都市へ。「欅会」が考える街づくりの未来‎

日本のトレンドの発信地、表参道。
流行のファッションショップやTV・雑誌で有名なグルメ店が立ち並び、通りには国内のみならず海外から訪れる人々も多くいます。

イベントも開催され、夏にはスーパーよさこいで街に活気をもたらし、クリスマスの時期にはきらびやかなイルミネーションで人々を魅了します。

日本のみならず世界からも注目されている表参道。読者の皆さんの中にも、訪れたことのある人は少なくないと思いますが、表参道の都市づくりを支える「欅会」をご存知でしょうか?
「欅会」の存在がなければ、表参道にはゴミが溢れ、冬の風物詩でもあるイルミネーションは開催されず、トレンドの発信地である現在の表参道の姿はなかったかもしれません。

支えがあるからこそ、表参道の欅の木はイキイキとし、通りは清潔に保たれ、日本や海外の人からも愛される都市となりました。

「Keep Clean, Keep Green」の標語を掲げ、表参道を支え続けている商店街振興組合原宿表参道欅会様。
今回は欅会様が行われている環境活動や、表参道の歴史、そして未来の姿について理事長の松井誠一様にインタビューさせて頂きました。

 

 

90年前、表参道は大名家系の屋敷が並んでいた


欅会の成り立ちを話す上で、表参道の歴史は切り離せません。表参道は明治神宮の参道として1920年にできました。当時の表参道は元々大名であった家系の大屋敷が立ち並んでいる市街地であり、欅の木もその頃から植えられておりました。
自然があふれる閑静な街でありましたが、太平洋戦争により景色は一変します。街は焼け野原となり、200本以上あった欅の木は13本だけになってしまいました。

戦後、一時は希望を失いましたが、地元の造園業の人々が自費で欅を植樹してくれたことにより、現在にも残る欅並木の姿を取り戻すことができました。

 

欅会1

 

当時の表参道は自然が多く環境の良い地ではありましたが、人が集まるような場所ではありませんでした。ですが1964年の東京オリンピックを機に交通量も増え、景観が良く地価も安かった表参道は注目されていきます。

 

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商業の地として栄えはじめ、店を出しに商人達が多くやってくるようになります。繁華街の認識でやってくる商人に、明治神宮の参道の認識をもつ住民は、元々の景観が壊されるのではないか? という危惧を感じてきました。

 

 

7人で始まった欅会と、トレンドの発信地・表参道


そんな危機意識により、7人の地元の商人達が集まりました。新しく店を開く商人へ、表参道の景観・環境を守ることを啓蒙する為に彼ら7人が発起人となり、1973年に原宿シャンゼリゼ会(現・欅会)が発足。
当時から「Keep Clean, Keep Green」のコンセプトを掲げて、環境活動を開始していきました。

「Keep Clean」の取り組みとして、表参道の綺麗な街並みを保つために、ボランティアが集い清掃活動を進めていきました。その活動を通して、世界各地にも支部を持つグリーンバードなど様々なNPO団体が誕生。
少ない有志で行っていた清掃が、多くのNPOが集まり活動することでムーブメントが起こりました。
清掃は大変でひっそりやるというイメージだったのが、若い人が集まり楽しみながらやる活動になり、表参道で清掃をすることが一種のトレンドになったのです。

 

「Keep Green」の活動としては、1981年から表参道の欅の木診断を開始しています。この時から街のシンボルである「けやき」の診断を行っています。

 

欅会3

 

欅会4

 

環境活動以外にも様々な行事を催し、1991年にイルミネーションの点灯、2001年からスーパーよさこいを開催していきました。

 

 

欅の木は今、危機的な状況にある


 

欅会5

 

現在の清掃活動は、様々なボランティアや学生が集まり、日曜を除いた週6日間清掃活動を行っています。
また、ボランティアグループ以外にも、色々な人達が清掃活動に加わってくれています。
表参道に店舗を構える企業や、別の地域の企業の方々が訪れ清掃をしてくれます。

またテレビのロケ現場として表参道が使われることも多いのですが、撮影をする前に掃除してくれるロケ班の方々もいらっしゃり、理解が広がってきています。

それぞれ表参道に関わっている人達が責任をもち、積極的に清掃活動を行ってくれています。皆が守りたくなるような場として表参道があると感じます。

 

 

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また、欅の木を守る取り組みもしていますが、欅は今危機的な状態です。

戦後に植え替えられ、現在で樹齢65年。欅の木が植えられ、時間が経つことで2つの問題が発生してきました。

 

1つは、欅が通りに対して大きくなりすぎている事。欅の木が育つことで枝が伸びていきます。歩道にはみ出しビルに当たる可能性がある枝や、車道側にはみ出て道路に落ちそうな枝は事故に繋がるため、そういった枝は落としています。

 

欅会6

 

もう1つは、欅の木の幹が腐り始めていることです。木そのものを支えている幹が腐り始めているため、元気そうな木が突然倒れる可能性があります。その事態を防ぐために診断をし、ここ5年で4本ほどの木を切っています。

戦後から続いている欅の木でありますが、現在植え替える時期にきています。未来に欅を残していくために、数十年サイクルで木を植え替える事業を構想しています。

 

 

海外の都市に並ぶ街、歩いて楽しい街に


 

欅会8

 

環境活動の取り組みに加え、未来の表参道、東京の姿を考えていかなければなりません。

これまで東京は国際的にも評価されていましたが、そのプレゼンスは落ちている現状があります。

現在でもロンドンやニューヨークに次ぐ商業の地として東京は位置していますが、上海やシンガポールがもの凄い勢いで経済成長しています。
今後も人口減少し、経済が縮小していく日本を考えると、現状のままでは海外の競争に負けていきます。

その為に海外進出し、日本の魅力を世界に伝えていくべきであり、来たる2020年の東京オリンピックは日本をPRするビッグチャンスです。
東京オリンピックに向けて、欅会としては表参道を、海外の都市に並ぶような個性的に街にしていきたいです。

個性的な街にする為、大切にし目指しているのが、「楽しく歩ける街」です。
表参道は本道の欅通り以外に、脇道や裏道にもバラエティーに富んだ街並みが広がっています。

楽しく街を歩く中で、ショッピングをしたり、歩いてお腹が減ることで食事をしたりと、滞留時間が長くなることで様々な経済活動が行われていきます。それらの体験を通して、表参道のファンになってもらい、オリンピックが終わった後も再び訪れてもらえる街にしていきたいです。

 

欅会9

 

また、これから50年100年のスパンで考えると、世界で進むテクノロジー化への対応と、表参道の土地の相続の問題があります。

 

表参道は注目をされることで土地の値段が上がってきました。地価が高価な為、相続税が多くかかり所有者が亡くなった時に土地の相続が難しくなってきます。そうなると表参道の土地に長期的に投資する人がいなくなってきます。

 

表参道に立っている建物も、昔は個人で所有している人がほとんどでしたが、現在は個人でもっている人は少数なのではないでしょうか。

街づくりは何十年もかかる取り組みですから、その土地を所有する人は利益だけでなく、街の未来に対しても真剣に考えていかなければなりません。

 

世界に目を向けると、AI化が進み、テクノロジーは進歩していっています。
ネットで買い物しても、数時間で物が届くという現状でありますから、今後は実際の街で買い物する存在意義が問われていくでしょう。

ボタン1つですぐに物が買える時代になっていく中で、商品だけが揃っている街では通用しません。
その時に表参道はテクノロジーを活用しつつ、体験を提供できる場として楽しく歩ける場として、東京の街の中心であり続けていきたいです。

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